年金の繰り下げ受給

年金の繰り下げ受給の最大のメリットは、増額された金額を一生もらえることです。1カ月繰り下げるごとに0.7％ずつ増額率が加算されます。例えば70歳まで5年間繰り下げると４２％の増加、75歳までの10年間繰り下げると84％も増加します。夫婦2人の標準的な年金額で考えると65歳から原則通りの受け取りで月に約22万円、70歳から受け取りで約31万円、10年間繰り下げて75歳からの受け取りで約40万円となります。付加年金も同時繰り下げとなり、同じ率で増額されます。

では繰り下げ受給の注意点を考えましょう。振替加算（加給年金の代わりに配偶者の年金に加算されるもの）は基礎年金の繰り下げ期間中は支給停止となり、増額の対象とはなりません。加給年金は老齢厚生年金を受け取っていなければ受け取れません。また年金は年金控除が適用された金額が雑所得として所得税・住民税の課税対象となるため税金があがります。国民健康保険などの社会保険料は所得に応じて上がり、70歳以上の医療費の自己負担割合も上がります。このため年金の増加率ほど手取りでは増えない可能性があります。

繰り下げ受給は長生きすればするほど得といえますが、そもそも何歳まで生きるのかわからない上に実際は税金や社会保険料も考慮する必要があるため、厳密に計算することは困難です。また繰り下げる場合、年金を受け取るまでの手持ちの資金ともらえるまでの生活の備え（65歳以降も働くとかの収入がある）が重要です。

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